2019年7月2日火曜日

~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.7 風船の日

「まさに風船のような人でしょう。」


走り去るモモの後ろ姿を見送りながら、
ジョージが楽しそうに言った。
ココロも納得の例えだった。

「風船の日というのは王国に伝わる伝統行事です。
毎年8月8日にあります。

日本には彦星と織姫のお話の
七夕がありますよね。


そんな風に、
風船の日にも言い伝えがあります。

昔々の伝説のお話です。
王国を守った夫婦の物語。

争いの絶えない人間に怒った神様が
天災を起こしました。

地震が起こり、海は荒れ、止まない嵐。
人々はとても困っていました。

村に不思議な力をもつ夫婦がいました。
旦那さまの”あんだい”には、大地と話す力があり、
奥さまの”あんざと”には、海と話す力があったのです。」


「みなさま、もうすぐバルーンリリースのお時間です。
お願いごとは書けましたか?
まだの方はお急ぎください♪」

ジョージの話を
遮るように放送が流れた。

「おっと!もう時間ですね。
お話はまた今度。
この風船に願い事を書くと叶うと言われています。
あちらに書きに行きましょう♪」

ジョージは早歩きで、とんがりテントへ向かった。
ココロとボスも風船を連れて、小走りで後に続いた。

ココロは走りながら風船の日の
話の続きを想像していた。







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