2019年7月15日月曜日

~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.14 孔雀

孔雀にお祈りを終えた2人と1匹は
また図書館へ向かった。


「あ!ココロさん!あそこ!」

ショージが差す先を見ると
木の向こうに何かが光っていた。


なんだろうとじっと見ていると
真っ白な孔雀が
木の上から飛び降りた。


その姿はとても美しく神秘的だった。



「ココロさん!
あなたはとても幸運な人ですね❤︎

白孔雀は
この公園につながっている
広い森の奥深くに住んでいて、
王国の人でも
なかなか見ることはできないんですよ。
それを王国に来た初日に出会えるなんて!!
私も見るのはこれが2度目なんですよ。」



白孔雀はこちらの方へ向かって歩いてきた。

そして、ブルブルと体を震わせたと思ったら、

風がフワッと吹いた。


目の前に真っ白な羽根が大きく広がっていた。


ゆっくりと孔雀は回転した。


その美しさというと、

ジョージもココロも犬のボスさえ、

圧倒され動けなくなるほどだった。











2019年7月14日日曜日

~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.13 孔雀

「せっかくなので、
ココロさんも孔雀にお祈りしてみしょうか♪

お祈りの仕方を教えます。

孔雀の前に立ち、
手を合わせ深く深呼吸をします。

そして自分の願いが叶ったところを
思い浮かべるのです。

喜んでいる自分をなるべく鮮明に。

その想像の中に孔雀が飛んでくると
願いが早く叶うと言われています。

その時には 見えなくても、ふとした時、
夢の中に孔雀がやってきたりします。

なので常日頃から願いが叶った自分を
想像するようにしていくといいですよ♪」




一番近くにある孔雀の銅像は
握手を求めるように
片方の羽根を伸ばしていた。


台座には「絆」と彫られていた。



「これは絆の孔雀ですね。
つながりを結ぶお役目です。

この手の羽根を触るといいですよ。」



ココロはジョージの真似をして、
握手するように
羽根を触った。


孔雀の顔を見ると
とても優しく深い目をしていたので
なんだか安心した。




「では、手を合わせて深呼吸します。

心を落ち着けたら、
自分のなりたい自分。

絆を結びたい人や事柄を
叶った時のような楽しい気持ちで
ありありと想像してみてください♪」



ココロは日本にいる家族のことを思った。

が、なんだかうまく想像ができない。

楽しい想像。。。と頭を回転させると、

幼稚園のころに描いた家族の絵がでてきた。

動物園に行ったところを描いた絵は、
今まですっかり忘れていたくせに、
細かい色使いや、だいすきと書かれた
「す」の文字が鏡文字になっている
ことまで鮮明に浮かんだ。




「想像できましたか?
孔雀は登場しました??

私は、ボスとの絆を深めることで、
ボスコーヒーの完成を
想像したのですが、


ボスがたくさん出てきて、
どれが本物のボスかわからなくなり、
大勢のボスと暮らすという想像で
終わってしまいました。w」


と、苦笑いをしたので、

ココロもたくさんのボスが出てきて、
困っているジョージを思い浮かべて笑った。


ボスは孔雀の銅像をクンクン匂いをかいでいた。








~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.12 孔雀

「では、そろそろ行きましょうか。


この公園の中に図書館があります。

そこにガイドブックの載せた
ココロさんもお気に入りの絵が
飾られているので、
それを見てから、
ホストファミリーの家へ向かえば、
ちょうどいい時間になるでしょう。」



と、ジョージが言い
2人と1匹は歩き始めた。


途中、大勢の人に囲まれるモモのそばを
通ると、気づいて笑顔で手を振ってくれた。


ココロは一生懸命大きく手を振り返した。

今日のことはおばあちゃんになっても
忘れないだろうと思った。






しばらく歩くと、先ほどの会場の熱気は薄れ、

大きな噴水のある広場に差し掛かった。



噴水の中央には孔雀のオブジェがあり、
羽から球を描くように
噴水が吹き出していた。


周りには何体もの孔雀の銅像が
ポーズを変えて
噴水を取り囲んでいた。



「王国では孔雀が神の使いとして
祀られています。

噴水の周りには12体の孔雀の銅像があり、
人々はこの孔雀に祈りを捧げます。

孔雀たちはそれぞれに
愛、富、時、再生、チャンスなど、
いろんなお役目を持っているので、
その時に合う銅像にお参りするんですよ。」




それぞれの孔雀の前で数人が
集まっていた。




「この公園の銅像たちには
いろんな不思議な伝説があります。

興味があれば調べてみると
面白いでしょう。

図書館にはそういう本もたくさん揃っていますからね。」



不思議な伝説という言葉に
ココロは心惹かれた。

本を読むのは大好きなので
ぜったいに読もうと思った。



「この公園には、
本物の孔雀もたくさんいます。」



ジョージは足を止めて
地面から何かを広うと
ココロに手渡した。


「どうぞ。」

目の前に差し出されたのは
青く輝く孔雀の羽だった。



「孔雀の羽は幸運を運んできてくれて、
魔を祓ってくれると昔からお守りとして
言い伝えられています。

その羽根がココロさんを守ってくれるでしょう。」


初めてまじまじと見る孔雀の羽根は、
光に当たって
青にも緑にも黄色にも見えて
とても神秘的だった。











2019年7月11日木曜日

~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.11 風船の日

「またモモさん腕をあげましたね♪」

ジョージは一人言のようにいった。

次はココロの方を向いて、


「初めての風船の日はいかがでしたか?
バルーンショー素晴らしかったでしょう♪」


と、笑顔で訪ねた。
冷めない興奮の中、
ココロは何度もうなずいた。
ボスもワン!と吠えた。


「毎年、風船の日には王国で1番の
バルーンアーティストがショーをするのです。

ここ5年は、ずっとモモさんがやっています。

彼女ほど風船と心が通わせられる人は
なかなかいませんからね。」


ジョージは誇らし気に入った。

ココロはまた風船の天使の物語を思い出していた。




ショーが終わった公園は活気にあふれていた。


バルーンでできたフォトスポットで
いろんなポーズで写真を取り合ったり、

可愛いキッチンカーの
行列に並びながら歌っていたり

観客もステージに上がり、
ダンサーや動物たちと
ダンスを踊ったり、
その周りでもダンスの輪ができていたりと、


みんなキラキラした表情をして
めいっぱい楽しんでいた。



その様子を眺めていたジョージが



「これこそ風船の魔法ですね。
子供も大人も男性も女性も
みんなの心を膨らませてくれる。

”あんだい”と”あんざと”も
空からこの光景を見て喜んでいることでしょう。

この王国では、
みんな楽しむことをとても大切にしいるのです。
子供から大人まで、本気で楽しみます。

私はこの王国のそうゆうところが大好きなのです。」


と、目を細めて言った。




~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.10 風船の日

空に向かって飛んでいくバルーンと
一緒に上がっていく目線の先に、


驚きの光景があり、

ココロは一瞬ここは
夢の中なのかと疑った。


願いを連れて空へ向かったバルーンたちは
空中できれいな円を作って整列し、


その真ん中には、
モモが浮かんでいた。


会場はおおいに盛り上がった。


音楽隊がなめらかなメロディを奏でると



モモの指揮に合わせて

風船たちがくるくると回り始めた。


音とともにスピードを上げたり
配列を変えたり、

風船たちが踊っていた。



その光景を見たココロの頭に

昔読んだ絵本が蘇った。


その本は、風船の天使の物語だった。



モモちゃんは風船の天使なんだと

夢見心地の頭で納得した。



ショーはクライマックスに差し掛かったようで

音楽が大きくなり激しくなった。



風船たちはモモの回りに集まり

モモの姿を隠し、

大きな大きな1つの風船になった。


シンバルのジャーン!!

という音が響くと、


大きな風船は、

パーン!!と

音を立てて破裂した。


音に驚きながら上を見ていると

キラキラとカラフルな

紙吹雪が降ってきた。



大きな風船から

もとの風船たちが生まれ、



その風船たちは

何事もなかったかのように

ゆっくりとした流れの風に乗って

プカプカと天を目指して飛んでいった。





モモは風船の群れから離れ、

見守る観客に手を振りながら

プカプカとステージへ降りてきた。




拍手喝采はしばらくの間鳴り止まなかった。



ココロも夢中で手を叩いた。










2019年7月5日金曜日

~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.9 風船の日

ドラムの音が何かの始まりを告げるリズムで
みんなの注意をひいた。

ステージ上の華やかな人たちが
手拍子を始めると
同じように観客も手拍子で合わせた。

ドラムの音に管楽器が混ざり、
パレードのようなメロディーが
みんなのボルテージを上げた。


場の雰囲気が最高に高まったタイミングで
シンバルがジャーン!と鳴り響くと


「こんにちわ♪バルーンモモです!!
風船の日のバルーンフェスティバルへ
ようこそ〜〜〜♪♪♪」

モモの声が会場に響いた。
みんなが歓声をあげた。

「年に1度の風船の日がやってきました♪
私は小さい頃から自分の誕生日よりも
この日が大好きでした!
今年もこうやって みなさんと
風船の日を過ごせることが最高に幸せです!」

拍手と歓声があがった。


「みなさま、風船にお願いごとは書けましたか?

昔々からの言い伝え。

”あんだい”と”あんざと”が守ってくれた
イロトリドリの王国で
風船に感謝と願いを乗せて。

2019年はピンク色の年。
愛、優しさ、思いやり。
そんな色の魔法とともに
みんなで空を彩りましょう♪」

ドラムが弾むような
リズムを刻んだ。

「みんなで一緒に3からカウントダウンしましょう♪」

「3!!」
音楽が大きくなっていく。
「2!!!」
子供たちは叫ぶように数を数える。
「1!!!!」
大人も笑顔で大きな声をだす。


「HAPPY BALLOON!!!!」

ステージから大量のリボンが吹き出した。
みんな一斉に風船を空に放した。

ココロもみんなにならって
手首から紐を放すと、
空に浮いていくココロのバルーン。

他のバルーンと混ざっていくところを
見守った。




2019年7月2日火曜日

~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.8 風船の日

「はい。このペンをどうぞ♪

とんがりテントの中にいた
トラが手渡してくれた。
リスとライオンもいた。

なんてよくできた着ぐるみなんだと思った。
顔の表情までとてもリアルに動くのだ。


「願いごとは内緒にする方が叶うという
言い伝えがあります。
見ないようにしますので、
向こうの机でお書きください。
まぁ、私の願い事はいつも言っているので
今更内緒ではありませんので...」

と、ジョージはココロの前で書き始めた。

『ボスの珈琲が完成しますように....』


真剣な顔をして書くジョージを見ながら、
ココロは願い事を探した。

少し迷ったが、
ジョージは見ないというので、
小さい文字で本気の願い事を書いた。

風船の神様...
どうぞお願いします...
心の中で祈った。


「では皆様!!
バルーンリリースのお時間となりました♪
ステージ近くにお集まりください♪」


元気な声のアナウンスが流れた。
風船をもつ人々が円形のステージの周りに集まった。

掘り下げ式のステージで
石でできた椅子階段が囲んでいる。

どの位置からでもよく見える造りだ。

ステージ上には
たくさんの風船を持った
モモを中心に
風船のドレスの女の人たち、
着ぐるみの動物たちが並び手を振っていて、
その後ろで楽器隊が生演奏を奏でていた。





~第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.7 風船の日

「まさに風船のような人でしょう。」


走り去るモモの後ろ姿を見送りながら、
ジョージが楽しそうに言った。
ココロも納得の例えだった。

「風船の日というのは王国に伝わる伝統行事です。
毎年8月8日にあります。

日本には彦星と織姫のお話の
七夕がありますよね。


そんな風に、
風船の日にも言い伝えがあります。

昔々の伝説のお話です。
王国を守った夫婦の物語。

争いの絶えない人間に怒った神様が
天災を起こしました。

地震が起こり、海は荒れ、止まない嵐。
人々はとても困っていました。

村に不思議な力をもつ夫婦がいました。
旦那さまの”あんだい”には、大地と話す力があり、
奥さまの”あんざと”には、海と話す力があったのです。」


「みなさま、もうすぐバルーンリリースのお時間です。
お願いごとは書けましたか?
まだの方はお急ぎください♪」

ジョージの話を
遮るように放送が流れた。

「おっと!もう時間ですね。
お話はまた今度。
この風船に願い事を書くと叶うと言われています。
あちらに書きに行きましょう♪」

ジョージは早歩きで、とんがりテントへ向かった。
ココロとボスも風船を連れて、小走りで後に続いた。

ココロは走りながら風船の日の
話の続きを想像していた。