2019年6月15日土曜日

第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.1

第1章 WELCOME to ILODORAICAL王国






船内アナウンスが楽しげな曲と共に流れ、
目的地に着くことを知らせた。

夢にまでみた場所に本当にきたんだ!
ココロは感激を覚えた。

降りる支度は10分以上前に終えていたので、
窓から船が着く様子をゆっくり眺めることができた。

白と青のシマシマの服を着た男の人たちが、
慣れた手つきで縄を扱い、
ポールに巻きつけて船を固定した。





「足元にお気をつけて、ゆっくりと降りてください。
イロドリカル船をご利用いただき
ありがとうございました。」

慣れてきていた船室とサヨナラして、
年季の入った木の橋に足をおろした。

たくさんの荷物をお気に入りのトランクに
バランスよく積みあげて、
ゴロゴロと音をたてながら、
船を降りた人たちと
同じ方向へ向かって歩いた。

橋の終わりに近づくと、
ハットをかぶり、
大きな犬を連れた男の人が
こちらに視線をくれている。



ココロは緊張して体が硬くなった。



「ココロ様ですね?長旅お疲れ様でした。
私は案内人のジョージAコーヒーと申します。
『ジョージ』とお呼びください。」

そういいながら
帽子の男性はグーにした右手を
ココロの前に差し出した。


その手をクルっと回すと
そこからパッと
ピンク色の花を出して、
ココロに手渡した。

同時に「ワン!!」と吠えた
大きな犬に目をやると、
『WELCOME to   ILODORICAL  KINGDOM!』
と、かかれた巻物をくわえていた。




「こちらは私の相棒のボスです。
顔は怖いですが優しくて賢い犬なので
安心してくださいね。」 

ココロは、うれしくなり
ワクワクドキドキで
胸がいっぱいになり
その思いを込めた笑顔を返そうとした
が、やはり頬の筋肉を
あげることが出来なかった。

「荷物をお持ちします。
ここから少し歩いたところに
案内所がありますので、
そちらでお話をさせていただきますね♪」
ココロの笑顔がないことなど気にする様子もなく、
ジョージは穏やかに説明した。


荷物に解放されたココロは、
まともにコミュニケーションをとることができない自分を責めながら
ジョージの後ろをついて歩いた。

並んで歩いているボスが
クンクンとココロの手のニオイを嗅いで
笑顔でワン!と吠えた。

そうだ!
私はここに自分を変える為にやってきたんだ!
がんばらなきゃ!!

ボスの首を撫でながら気持ちを
落ち着かせると、
いよいよILODORICAL王国での生活が始まるのかと、
胸がいっぱいになった。



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