2019年6月19日水曜日

第1章〜WELCOME to ILODORICAL王国~ vol.2

船着場から3分ほど歩くと
左手に白いとんがり屋根の
かわいい建物が見えてきた。

ジョージが振り返り


「ここが私の職場、
イロドリカル王国の案内所です。」

と言った。

味のある木でできたドアを押し開けると
相棒犬ボスが、
僕が案内するんだ!と言うように
ココロの前を足早に歩いた。



その先には
日当たりのよい部屋があった。





大きな窓の向こうには海が広がっていて、
ココロを連れてきてくれた船が
まだ船着場にいるのが見えた。


「どうぞソファにお座りください。」

ジョージが指す白いソファに座った。


「長旅おつかれさまでした。
どうぞリラックスしてくださいね。
珈琲はお好きですか?
旅の疲れがとれる
とびきりの珈琲を
お持ちしようと思うのですが。。

うなずくココロを見て、
ジョージは微笑みながら、

「では、少々お待ち下さい。
珈琲は挽きたてが1番ですからね。」

そう言うと、ジョージは、
奥の扉に入っていった。

ボスと二人だけになった
ココロは部屋の中を
キョロキョロと見回した。

ジョージの趣味なのだろう。
綺麗な色の絵や、変わった置物が
センスよく飾られていた。


ボスが1冊の本をくわえてココロの膝に持ってきた。

【ILODORICAL 王国ガイドBOOK】と
書かれた旅行本だった。

ココロはこれと同じものを
トランクケースに持っていた。

日本の本屋さんで見つけ、
何度も何度も読んで、
王国への留学を決めた
お気に入りの雑誌だった。

1番好きなページをめくって探した。

そこには、
見開きで一面に、
キラキラ光る海の中に
大きなクジラがいて
その背中に王国が描かれた
絵が載せられていた。

その上にプリントの文字で
『welcome to ILODORICAL王国』
と、綴られている。

ココロはこの絵に
いつも見惚れていた。






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